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バイデン増税は米国に何をもたらすか?考えてみる。

バイデン増税は米国に何をもたらすか?考えてみる。

 

ジョー・バイデンは、子育てと教育のための資金の大幅な増加を補うために100万ドル(1億800万円=1ドル108円)以上を稼ぐ人々の譲渡益(キャピタルゲイン)に対する課税をほぼ2倍(39.6%)にすることを含む、米国の富裕層に対する一連の増税を発表する計画をしています。

ホワイトハウスからの1兆ドル以上の規模となる増税案は早ければ来週早々に発表されるだろうとみられています。

増税は、ドナルド・トランプ前大統領が2017年に可決した減税の一部を覆することにもなります。その中には、最高所得税率が37%から39.6%に引き上げられ、年収100万ドルを超える米国人のキャピタルゲインと配当支払いに通常の所得税率が適用されることが含まれます。

バラク・オバマ大統領時のオバマケアの時に導入された投資所得に対する付加税3.8%と相まって、富裕層の金融資産の譲渡益への税率は43.4%になります。

ホワイトハウスは米国雇用計画と称した財政プランを3月31日に発表しました。新型コロナ対応と経済復調を後押しするための米国救済計画などと異なる性格を持つ財政政策です。具体的にはバイデン政権が2期続くことを想定して8年間に及ぶ、道路などのインフラ整備や税優遇を通じた環境投資後押しなどの広範囲な歳出拡大とともに、これらの財源としての法人増税や外国で稼いだ企業利益に対する課税強化が一体となったパッケージになっています。

さらに、米国雇用計画に続い「米国家族計画」と称されるプランも計画しています。米国家族計画はバイデンが大統領に就任して以来、米国大統領によって提案された3番目の大規模な経済施策になるはずです。3月に1.9兆ドルの財政刺激策を制定し、その後これから議会で審議される2兆ドルのインフラ法案を提案しました。

バイデン氏は「富ではなく勤労に報いる」というこれまで公言してきました。経済政策の裏付けとなる財源は富裕層に的を絞り、勤労所得よりも金融所得にかかる税率を高くすることを目指しているようです。

バイデン政権は富の偏在が社会の分断を深め、富の偏在が社会の分断を深め、不満や嫉妬が民主主義の根幹を揺るがしているとの問題意識があります。新型コロナウイルスの危機の中、大規模な金融緩和と巨額の財政出動を背景に株高が続き、「K字」のように貧富の差が一段と開く二極化が進んでいるとみられています。

米連邦準備理事会(FRB)によると、上位1%の超富裕層が持つ富は2020年の1年間で約4兆ドル増えて39兆ドルに迫り、その規模は全世帯の下位半分の15倍に上ります。世界を見渡しても保有資産10億ドル以上の2千人余りの富豪はコロナ禍の約1年で資産を200兆円増やしています。

バイデン政権は格差が拡大すると安定した消費を支える中間層が細る一方、教育にお金をかけられない層が増え、将来にわたって成長の足を引っ張るとみています。そのため、「家族計画」で3月の1.9兆ドルの経済対策で手厚くした子供のいる家庭への税額控除の期限延長や幼児教育の機会拡大、介護支援などをメニューに検討しています。これは、格差を縮め、成長の基盤の底上げを狙うというバイデン政権の大義になっています。

バイデン大統領は28日にようやく議会で演説を予定しています。「雇用計画」「家族計画」の実現を訴えることを予想されます。このバイデン政権の経済政策とその財源の裏打ちとしての増税が明確になってきました。

さて、そこで株式市場の反応です。バイデン政権が株式等の売却益にかかるキャピタルゲイン(投資収益)の課税強化に動くとの報道に株は下落しました。バイデン政権の増税は大統領選挙の時から公言していたので、市場は覚悟していたはずですが、それでも警戒感が強まり下落しました。

今後、市場が気にするであろう点は、バイデン政権の姿勢です。ウォール街と一定の距離を保ち、中間層重視の姿勢を鮮明にしていることです。今後、まずは年収100万ドル以上の高所得者による年度内の株式売却が進むことが予想されます。

さらに、本丸ともいえる法人税21%から28%への増税案も控えています。その企業収益への影響を市場はいまだ織り込んでいません。これが明らかになると株価の下落はさらに鮮明になるのではないでしょうか。

 

 

(2020年4月23日 ウォールストリートジャーナル)

上図は4月22日を起点にして、S&P500、ダウ工業株、ナスダックがどのように動いたかというグラフです。S&P500は0.9%下落、ダウ工業株30種平均0.9%下落、ナスダック総合指数0.9%下落になりました。

過去の株価上昇で含み益が大きい銘柄は税率引き上げ前に売られやすいとの見方から、主力ハイテク株に下げが広がりました。

ウォール街、市場との対話でバイデン政権が示しているのは、富裕層への厳しさです。しかし、超金融緩和よって余剰となっている資金は富裕層に向かっています。

富裕層は増税を見越して、対策をとってくるでしょう。バイデン増税に対して市場はどう反応するかは注目です。

さて、気になるテレグラムでのつぶやきがありました。

President Donald J. Trump will be back in the White House soon. I promise you that.

ドナルド・J・トランプ大統領はまもなくホワイトハウスに戻る予定です。私はあなたにそれを約束します。

これはダンスカビノ氏のものです。約束するといっています。

もしかすると、バイデン政権が進める増税策の議論によって、株価急落ということとなり、米国は大変なことになるのかもしれません。しかし、実はそれは、織り込み済みの話であり、不安が高まることから、昨年の大統領選挙の正当性が再度問われることとなり、今の金融システムの崩壊の原因はバイデンに、救い主はトランプ派にということがあるのかもしれません。

これは、あくまでも単なる憶測です。しかし、マイピローという会社のCEOマイク・リンデル氏がトランプ氏を支持することで、会社は苦境に立たされましたが、それでもトランプ氏支持を続けました。そして、ミネソタ州知事への立候補を表明しています。そのマイク・リンデル氏も8月にトランプ大統領が帰ってくるというような発言をしています。

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