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世界経済はコロナワクチンの行方に左右されている。IMFの経済見通し上方修正。ワクチンのこと

世界経済はコロナワクチンの行方に左右されている。IMFの経済見通し上方修正。ワクチンのこと

世界経済はコロナワクチンの行方に左右されている。

IMFの経済見通し上方修正。ワクチンのことも知っておこう。

IMFから世界経済の見通しが発表されました。

26日に改定した世界経済見通し(WEO)は、2021年の成長率見通しを5.5%とし、前回予測から0.3ポイント引き上げました。追加の新型コロナウイルス対策で日本が0.8ポイントの大幅な上方修正、米国も上振れの予測です。

IMFによると世界経済は巨額の財政出動が後押しし、20年半ばから回復が始まっています。19年通年の世界GDPの水準を100とすれば、21年は102となり、20年の落ち込みからは回復するとの見込みです。21年は米国もコロナ危機前の水準を取り戻し、中国に続いて世界経済のけん引役となるとしています。日本は遅れて22年にも19年水準に回復する見通しです。

20年は「大恐慌以来の最悪の景気後退」(ゲオルギエバ専務理事)でしたが、マイナス成長の幅は3.5%と20年10月の前回予測(マイナス4.4%)から上方修正しています。米国も20年は前回予測より0.9ポイント引き上げマイナス3.4%となっています。

IMFは主要国で2021年夏までにワクチンが広く普及する前提で試算しています。欧州でワクチン供給が足元で遅れているなどの懸念は残りますが、21年から22年にかけて「日本や米国の追加経済対策が世界経済を一段と下支えする」としており、22年の世界経済は4.2%のプラス成長を予測しています。

このIMFの予測はワクチンの普及が前提です。

ということは、今の世界はワクチンの普及と効果に依存した社会ということです。

では、その前提となっているワクチンについて見てみましょう。米国で普及しているmRNAワクチンについて見てみます。

米国のペン・ステート・ヘルスの専門家らが、良くある質問に対する回答を示しているので、それを参照にしながら、その回答以上に知りたい場合は、米国のCDC(米国疾病予防管理センター)のホームページを参照するように書いてありますので、両方を参照しながら見てみましょう。

https://consumer.healthday.com/b-1-11-answering-your-qs-on-the-new-covid-vaccines-2649790920.html

COVID-19ワクチンはどのように機能するのか?

COVID-19ワクチンは免疫システムにウイルスから守るように教えることで、機能すると専門家は述べています。

米国で承認されている2つのワクチン(ファイザー・バイオンテック社とモデナ社製)のいずれも生のウイルスを含んでいません。これら2種類のワクチンはmRNAワクチンと呼ばれるものです。このワクチンは、COVID-19を引き起こす、ウイルス表面のスパイクタンパク質の遺伝情報を含んでいます。

そのため、接種すると、mRNAの情報に基づいてヒトの細胞表面にスパイクタンパク質が形成されます。ヒトにとっては異物であるこのスパイクタンパク質を認識した免疫系により抗体が作られることで、本物のウイルスが侵入しようとしてもブロックされ、感染を防御するという仕組みです。

と、このように書いてあるのですが、少し難しいですよね。まず、スパイクタンパク質といわれるものですが、コロナウイルスは粒子の表面に他のウイルスとは異なる「王冠(コロナ)」のような突起(スパイク)を持つウイルス群とし命名されました。つまり、スパイクタンパク質というのは、コロナウイルスの持つ特徴ということです。

次にmRNAですが、これはメッセンジャーRNAと呼ばれ、「m」はメッセンジャーの略語です。このmRNAは細胞が分化する時に役割を果たします。DNAの情報をコピーし、細胞を形成するタンパク質を合成する設計図のような役割を果たします。

このmRNAの特性を利用して、体内のDNAの情報をコピーするのではなく、あらかじめ体外でスパイクタンパク質を作るように設計された情報を含んだmRNAを体内にワクチンとして入れるわけです。すると、体内でmRNAの情報に基づいてスパイクタンパク質が形成されます。それはあらかじめ細胞の表面に現れるように設計されています。

こうして、体内に人工的で、無害なスパイクタンパク質が形成されます。すると、体の免疫機能は「異物」であるスパイクタンパク質を発見して、これを廃除するための抗体ができます。その後、「本物」のCOVD-19ウイルスが体内に侵入しても、既に抗体ができており、身体の免疫機能が反応して排除したり、攻撃したりしてくれるという訳です。

米ペン・ステート・ヘルス・ミルトン・S・ハーシー医療センターのM.ファハド・カリド博士は、「mRNAは、スパイクタンパク質が形成された後、速やかに分解される。このため、mRNAが細胞核に入ることはなく、DNAに変換されることは決してないと説明しています。つまり、新たな細胞を形成する役割を果たすことはないということです。

●ワクチンで病気になることはある?

「スパイクタンパク質自体が感染症を引き起こすことはありません」と米ペン・ステート・ヘルス・ホーリースピリット医療センターのモハマド・アリ博士は述べています。そして、mRNAワクチンは「生きたウイルスを含んでいない」とも述べています。

従来使用されているワクチンには生ワクチンや不活性化ワクチンというものがあります。これは、病原体のウイルスや細菌を別の宿主や細胞で増殖させて使用するというものでした。mRNAワクチンはこの病原体やウイルスを体内に入れることはないという意味です。

●ワクチンの安全性と効果は?

カリアドとアリは、ワクチンは非常に効果的だと言っています。

「その効果はとてつもなく大きいです。インフルエンザワクチンは通常40%~60%の効果がありますが、COVD-19ワクチンは94%から95%の効果があります」

ただし、副作用としてごく一部の人に重篤なアレルギー反応が生じることがあります。そのため、米疾病対策センター(CDC)は、新型コロナウイルスワクチンに含まれる成分に対してアレルギー反応が生じたことのある人は、ワクチンを接種すべきではないとしています。

また、他のワクチンに対してアレルギー反応が生じたことのある人は、医師に相談することを勧めています。その一方で、ワクチン以外の食物アレルギー、ペットアレルギー、季節性アレルギーなどの非ワクチン関連のアレルギーのある人は、このワクチンを接種しても安全であると述べています。

その他、注射部位の腫れや痛み、発熱、頭痛、筋肉痛などの副反応が起こることがありますが、一過性のものです。

●COVID-19に罹患している場合、予防接種を受ける必要がありますか?

CDCはCOVID-19に感染した人にワクチン接種を推奨しています。これは、感染後にウイルスに対する免疫がどのくらい持続するかは不明だからです。

●ワクチンを接種したら、マスクを外すことはできますか?

ワクチン接種後もマスクの着用、手洗い、社会的距離を置くことが必要です。

ワクチンによって発症率は抑えられますが、それでも感染する可能性がまだあるのか、他者へウイルスを広げる可能性があるのかについては、はっきりしていません。

●ワクチンにマイクロチップが入っていたり、不妊の原因になっているって本当ですか?

いいえ、ワクチンにはマイクロチップ追跡装置はありません。ワクチンが不妊の原因になることはありません。

「そこには多くの誤報があります」と、アリ氏は言いました。正確な情報のための最も信頼できるリソースはCDCのウェブサイトです。

残る問題はワクチンの量産と普及です。ワクチンの接種に懸念が広がると、株価が大きく下落するなど、ワクチン問題が経済を左右しています。

日本の課題はまずはワクチンの確保ということになりますが、感染が深刻な米国では量産できても、配布体制が整っていないという問題が発生しています。

テキサス州では「ワクチン接種が可能になったとの発表がなされるやWEBサイトの申込みページがクラッシュし、電話回線がパンクする状況になっている」と指摘されています。

米GDP10-12月速報値では、個人消費の伸びの急減速が響き、4%増にとどまりました。7-9月は過去最高の33.4%増を記録していただけに、急減速となりました。

米経済の最大部分を占める個人消費は、7-9月に41%急増していました。ところが、10-12月は2.5%増で、予想の3.1%増も下回りました。

これらもワクチンの普及、つまり経済活動の正常化へ向けた動きに左右されると言えます。

当面、世界はワクチンの量産、接種体制の情報に左右されそうです。もちろん、命を守る意味でも大切な情報ですが、世界の政治経済にとっても最重要課題ですので、注意してみていく必要がありそうです。

本日はここまで。ありがとうございました。

未来創造パートナー

宮野宏樹

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