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世界は感染拡大の中、金融正常化の新たなステージへ

世界は感染拡大の中、金融正常化の新たなステージへ

【オミクロン株が世界中で感染拡大】

日経新聞はトップ記事ではありませんでしたが、ウォール・ストリート・ジャーナルもフィナンシャル・タイムズもトップの記事はオミクロン株の感染拡大による制限の強化でした。

以下はWHOの世界の感染状況です。新たな波が来ていることが分かります。

 

米国、EU共に感染が拡大しています。

以下は米国、欧州の感染状況です。落ち着いたかに見られた時期もありますが、感染の再拡大が見られます。特に欧州は感染者の増加率が非常に高い状況です。

世界中で新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の感染拡大への対応に追われています。

世界保健機構(WHO)は18日、オミクロン株の感染が「1.5〜3日で倍増している」との見方をを示しました。

16日時点で世界89カ国で感染確認されたオミクロン株の広がりは、世界の感染拡大ペースをさらに速める懸念があります。そんな中、オランダはロックダウンに踏み切ります。ルッテ首相が18日に記者会見で発表しました。

来月14日までの間、屋内での集まりは最大2人ままでに制限されます。ただし、クリスマスと大晦日(おおみそか)だけは4人までの規模に緩和されます。

学校の授業と課外活動は少なくとも来月9日まで、すべて中止。10日以降に再開するかどうかは3日の閣議決定で決定します。

英国の保健当局は18日、オミクロン株の1日当たりの新規感染者が過去最多の1万59人となり、累計2万4968人になったと発表しました。首都ロンドンでは、カーン市長が医療機関への負担が増えているとして、「重大事態」を宣言しました。

新型コロナ全体では、英国の新規感染者は18日だけで9万418人。昨年のパンデミック開始以来で最悪の水準が続いています。

政府は「入院や死亡は感染から約2週間遅れで起きる」と、警戒してワクチンの追加接種を急いでいます。

フランスでは、カステックス首相が17日、新型コロナウイルスのオミクロン株が急速に拡大しているとして、飲食店や病院などの利用をワクチン接種者に限定すると明らかにしました。年明けに関連法案を国会へ提出するとしています。追加接種を促そうと、3回目接種の時期を1カ月前倒しし、2回目接種の4カ月後から打てるようにします。

フランスは15日、1日あたりの新規感染者が6万5千人に達し、うち数百人がオミクロン株と確認されております。年明けにはオミクロン株が大半を占めるようになるとみられています。

フランスでは15日、1日あたりの新規感染者が6万5千人に達した。カステックス氏によると、これまでオミクロン株の感染者は少なくとも数百人確認されており、「年明けにはオミクロン株が大半を占めるようになる」と述べた。

米国でも新型コロナウイルスのオミクロン変異株の感染が拡大する兆しを示しています。ロイターの集計によると、新型コロナ感染症による入院者は先月から45%急増、1日当たりの新規感染者も40%増加し、7日平均で12万3000人に達しています。

米ファイザーは17日、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が2024年まで収束しない可能性があるという見方を示した。

ブロードウェイでは公演が相次いで中止となり、ハーバード大学では1月の3週間をオンライン講義とし、スタンフォード大学でも冬期をオンラインで開始すると発表しています。

【インフレ懸念からの金融正常化】

米国は想定以上に進む物価高で、緩和を続けてきた金融政策が転換点を迎えています。米連邦準備理事会(FRB)は15日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、米国債などの資産を購入する量的緩和縮小(テーパリング)の加速を決めました。

テーパリングの終了時期を当初の想定である2022年6月から2022年の3月へ前倒しし、22年中に計3回の政策金利の引き上げを見込みます。

ただ、サマーズ元財務長官は早くからインフレ加速の懸念を訴えており、約40年ぶりの高水準となっているインフレ率をみると、金融政策をは後手に回ったという印象が残ります。

テーパリング終了の後は、金利の引き上げが待っているのですが、FRBの政策としては金利を上げるといってもその余地はあまり大きくないと思われます。市場もそのことは読んでいますが、その理由は歴史的水準に債務が膨らんでいるため、金利上昇に弱いからです。国際金融協会(IIF)によると、官民を合わせた世界債務は9月末に296兆ドルと1年で6%増え、国内総生産(GDP)の350%に達します。

それでもこの先、金利が上がることは間違いなく、米国は感染拡大の中、金融正常化へ向かうわけです。

次にEUです。欧州中央銀行(ECB)は16日に開いた理事会でコロナ危機で導入した緊急買い取り制度による新規資産購入を2022年3月末に打ち切ると決めました。総額1兆8500億ユーロ(約240兆円)の同制度の終了で、22年4月以降の資産購入額は現在の半分以下に減る見込みです。

購入額の急減で債券市場などが混乱しないように、激変緩和措置として、量的緩和制度による購入額を4~6月は月400憶ユーロに引き上げることを決めました。7月~9月は月300億ユーロ、10月以降は月200億ユーロとなる予定です。

主要政策金利(0%)と中銀預金金利(マイナス0.5%)は当面、現在の水準に据え置く方針です。利上げは量的緩和の終了後になる見込みで、いつになるかはまだ見通せていません。早期利上げに向けて量的緩和終了を前倒しする米連邦準備理事会(FRB)と比べれば、緩和縮小ペースは遅いです。

しかし、利上げ予定が遅いといっても、金融正常化へ舵を切ったのは間違いありません。

そして英国です。これは世界が驚きました。英国の中央銀行のイングランド銀行は16日、政策金利を0.15%引き上げて、同日付で年0.25%にすると発表しました。

国債や社債を購入する量的緩和策については、買い入れ枠を8950億ポンド(約135兆円)で維持することを金融政策委員会において、全会一致で決めました。残高はほぼ上限に達しており、新規の買い入れを止めて規模を当面保つことになります。

緩和策を転換したのは、物価上昇が想定を上回るペースで進んだためです。11月の英消費者物価指数(CPI)は前年同月比の上昇率が5.1%と、11年9月以来10年2カ月ぶりの大きさになっており、インフレ目標(2%)の2.5倍を超えています。人手や部材などの供給制約やエネルギー価格の高騰で物価高が止まらず、金融引き締めの必要性が一段と高まっていました。

英国は金融正常化を一歩先に進めています。

世界に対して、日本はどうか?日銀の2021年最後の政策決定会合では、大規模な金融緩和策の現状維持が決定しました。ただし、日銀は2021年の3月に上場投資信託(ETF)の買い入れ額の大幅な縮小を行っております。日銀は、まだまだ正常化へ向かったとは言い難いですが、それでも金融緩和の転換時期を見極めているというところではないでしょうか。

このように、金融正常化へ世界が動き始めています。

【オミクロン株拡大、再び規制強化の中の金融正常化】

オミクロン株の感染拡大により、再び規制が強化されようとしています。経済活動の停滞も考えられるわけですが、それよりも中央銀行の懸念は「インフレ」です。

オミクロン株の感染拡大による経済の停滞よりも、インフレ促進の方が怖いということです。果たして、感染拡大の規制強化の中、金融正常化へ向かった際の株式市場、債権市場はどうなるのか?

ここは、いまだ世界が経験していないことです。量的緩和の終了が発表された直後は、予想通りとNYダウなどは上昇しましたが、その後は下落傾向です。まだまだどうなるのかは分かりません。

要注目なのは、感染の拡大状況、規制の状況と正常化へ向かう金融政策の中、市場がどう動くのか?です。年末から年始、そして春ごろまでには、感染拡大の中の金融正常化がどのような影響をもたらすのかがはっきりするはずです。それまでは、世界は未経験の新たなステージへ進んでいるといえるでしょう。

本日はここまで。ありがとうございました。

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