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中小企業の経営者の方々の経営のヒントに!「日経新聞」「フィナンシャルタイムズ」「ウォールストリートジャーナル」から時代の流れを読み未来構築のヒントを提供します。日経・FT・WSJから学ぶ 日本と世界の「ミライ」
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<日経新聞の記事より>
国際通貨基金(IMF)は19日発表した中国経済の年次報告書で、中国の経済成長率は「下振れリスクが増大している」と分析した。安定成長のため、財政は社会保障の充実や環境投資の促進に力点を置くべきだと指摘した。
●最近の中国景気は「引き続き回復しているが、勢いは鈍化している」と言及。
その理由は、新型コロナ対応で拡大した財政支出などの正常化に加え、感染再拡大に伴う消費の伸び悩み、電力制限(※1)、政府の不動産規制が重なったためだとみている。
●IMFは10月、2021年の中国の実質経済成長率が8.0%、22年が5.6%と予測したが、報告書は下振れする可能性が高まっているとの警戒感を示した。
その理由として①消費の停滞、②債務問題といった金融面の不安定さ、③米中デカップリング、④今後の働き手の減少(長期的懸念材料)を挙げている。
●政策の不確実性が高まっている。
その表れとして、政府のIT(情報技術)企業への規制強化を挙げ、インターネット大手による情報の独占禁止などの競争環境の改善やデータ管理の強化に絡む中国政府の狙いを指摘している。
●今後の財政政策をめぐっての提言として、「社会保障の充実や環境投資の促進に重点を置く」としている。
従来の景気下支え策であるインフラ投資よりも効果が高いとの見方を示した。
●金融政策は、緩和的なものが望ましいと提言。
1~10月の消費者物価指数(CPI)の上昇率は、前年同期比0.7%と、政府目標の「3%前後」を下回っている。国内市場のさらなる開放や国有企業改革も質の高い経済成長モデルへの転換に役立つと指摘した。
※1 日経では電力制限と書いていますが、IMFのレポートを見ると「停電(power outages)」
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<この記事からの学び>
(IMFホームページより、筆者一部加工/https://www.imf.org/en/Countries/CHN)
上記はIMFのホームページから日経新聞の記事の元になっているデータを抜き出したものです。水色の〇の部分はIMFの従来予測のGDPです。2021年は8.0%、2022年は5.6%と予測していますが、それが下振れするリスクがあるということです。
さらに、消費者物価指数も政府目標の3%には届かないであろうとの予測がはっきりとわかります。緑色の〇の部分の予測では2021年は1.1%、2022年1.8%、2023年1.9%、2024年2.0%、その後は2.0%が続くとなっています。
IMFのレポートを読むと、中国の成長の鈍化や下振れリスクが懸念されているのがわかります。そして、いま、見えているリスクとしては、債務問題、そして不動産に関する規制の強化や、IT関連企業への規制強化などがありますが、今回は中国の抱える長期リスクとしての働き手の減少を考えてみます。
まず、人口ピラミッドを4つ比較してみましょう。(以下、World Population Prospects 2019より/https://population.un.org/wpp/Graphs/DemographicProfiles/Pyramid/156)
①1980年の中国の人口ピラミッド
1979年からは一人っ子政策が始まります。その影響からか、極端に0歳から5歳が減っていることがわかります。しかし、基本的には綺麗な三角形であり、だんだんと消費をしたり、働いたりする世代の人口が増えていくであろうことが予測されます。
②2000年の中国の人口ピラミッド
政策的に抑制された世代があり、いびつなピラミッドであることと、若年層が減っていることが見て取れます。
③2020年の中国の人口ピラミッド
若年層の人口は増えておらず、今後、高齢者より若年層が少なくなることが予測されます。高齢化社会への突入が見えます。
④2040年の中国の人口ピラミッド(予測)
若年層が明らかに減り、高齢者化社会となっている様子が予測されます。
このように中国の人口動態は大きく変化します。これまでのように、世界の工場であり、世界一の大消費地として君臨し続けることができるかは分かりません。人口から見る限り、中国も成熟した社会となっていくのではないでしょうか。
上記は中国の年代別の人口推移のグラフです。こうしてみると分かる通り、25歳~64歳の働き手として最も期待される世代の人口は間もなくピークとなり、減少を始めていきます。長期の懸念として「働き手の不足」が挙げられていますが、これを見る限り、深刻な問題となりそうです。
これらのグラフを見ていくと、中国が今後も経済成長し続けるのか?というと、それは簡単ではないということが見て取れます。少なくとも「働き手の不足」と「人口減少による消費の絶対量の低下」は起こってくるのは間違いないでしょう。
今後の中国経済の様子は、この人口問題を抜きには語れないのではないでしょうか。経済の成長率を考えると、今後はインドとアフリカが注目されると思われます。
本日はここまで。ありがとうございました。
宮野宏樹