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中国経済が米国経済を抜いて覇権を握るのか?

中国経済が米国経済を抜いて覇権を握るのか?

中国発の新型コロナウイルスのパンデミックは、発祥の中国が最も早く回復し、最も大きな打撃を受けたのが米国となりました。

中国経済の好調さが報道されており、いずれ米国経済を抜いて覇権を握るのではないかという予測もあります。

英シンクタンク「経済ビジネス・リサーチ・センター」(CEBR)は1月26日、中国が当初予測よりも5年早い2028年までに米国を抜いて世界最大の経済大国になるとの報告書を出しています。

一方で、ウォールストリートジャーナルは中国がトップの座を奪ったとしても、それを長く維持するのは難しいかもしれないと報道しています。

今回は中国と米国、今後どちらが世界一の経済大国になっていくのかを考えてみたいと思います。

中国が世界一の経済大国となる

(USドル(curreent prices)/CEBR・世界経済ネタ帳より筆者作成)

報告書によると、米経済は「2021年にパンデミック後の力強い回復」を受け、2022年~2024年までは年間約1.9%の経済成長を遂げ、その後は1.6%まで失速する見通しとしています。

これに対して中国経済は2025年までは年間5.7%、2026年~2030年までは年間4.5%の成長が見込まれるとしています。

ちなみにインドは2030年までには日本を抜き、世界第3位の経済大国となります。

【人口を考える】

中国は言わずと知れた世界一の人口を誇ります。しかし、中国の人口は間もなくピークを迎え、人口は減少する時代に入ります。

(2020年以降は予測)(出典:国連・世界人口予測2019を参考に筆者作成)

中国の人口は2025年あたりをピークに減少に転じます。インドに抜かれて人口世界一の座から落ちることになります。

以下は生産年齢人口です。

(2020年以降は予測)(出典:国連・世界人口予測2019を参考に筆者作成)

生産年齢人口(15歳〜64歳)は2010年にピークを迎え、減少に転じています。中国の改革開放初期の1980年は、全人口に占める生産年齢人口割合は59%であり、2010年までに74%まで上昇しました。つまり、改革開放以降の30年間は生産年齢人口が増加してきており、これが中国の経済成長を支えてきたと考えられます。

経済成長を支えた労働力は今後減ることが予想されています。国連の予測では、2040年から2050年の間に、言い換えればあと20年から30年で、生産年人口は1980年の水準60%程度に戻りそうです。

それに対して米国は生産年齢人口は上昇をキープしていきます。米国の労働人口は中国よりも高い出生率と移民による人口増加に支えられて、今後30年間で拡大すると見られています。

ロンドンを拠点とする経済調査会社キャピタル・エコノミクスが発表したレポートでは、中国は米国を上回ることはできないと分析しています。その理由の一つが労働人口です。

「生産性の伸びの鈍化と労働人口の減少によって、中国は米国を追い越すことができないという展開になる可能性が最も高い」と、分析しています。

仮に中国が米国の経済を一時的に抜いたとしても、トップの座を維持するのは困難と考えられます。それは人口動態の問題です。国連の予測によると、2035年から2040年の間のどこかで、中国の老年人口指数(15歳~64歳の生産年齢人口に対する65歳以上の人口割合)は、米国の指数を上回ります。

【生産性も関係してくる】

成長の構成要素には、労働と資本に加え、捉えどころの難しい「全要素生産性(TFP)」があります。中国の生産年齢人口はすでに減少に転じています。

つまり、中国が経済成長を維持していくには、より多くの移民を呼び込むか、労働力率を劇的に上げることに以外にないということになります。これは非常に困難なことです。

中国の債務は増加しており、新規投資の限界利益は縮小しています。また、中国の生産性の潜在力に関して、世界銀行が2020年6月に公表した文書によれば、TFP成長率は全般的に大幅に減速しており、リーマンショック以前の10年間の年率は2.8%だったのに対し、2009年~2018年は0.7%に鈍化しています。

中国経済が米国経済を抜く。最近のトレンドからすると起こり得る可能性は高いですが、それは一時的なものであり、人口減少の時代に入る中国はトップの座を維持するのは困難ではないでしょうか。

また、中国が米国を追い抜くということにおいては、為替が現状に近いことが大前提であり、為替が大きく変わればその限りではないということも考えておく必要があります。

中国の人口をインドが追い抜くことを考えると、中国が巨大化して世界経済の覇権を一強で握るということはなさそうです。中国の急速な高齢化に伴う社会の変化は注視しておく必要がありそうです。巨大な人口で世界一の市場を誇っている中国も陰りが見えてくるということです。

本日はここまで。ありがとうございました。

未来創造パートナー

宮野宏樹

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